映画の推薦
2024年
「最後の乗客」(マーマーレード・ピクチャーズ/ギャガ)日本
東日本大震災から10年。とある被災地の駅前ロータリーで客待ちするタクシー運転手・遠藤は、同僚から最近、浜街道に幽霊が出ると聞いた。そんな帰り道、遠藤は謎の女性客を拾った……。ドラマ。今や東日本大震災を知らない世代に何をどのように伝えていくかという大きなテーマに対して、一人のタクシー運転手を通して 「このようなアプローチもあるのか」と映画の創造力に気が付かせてくれる。また、震災により断ち切られた想いの悲しみや人と人との結びつきの大切さ、生命の重さを感じ取れる次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「型破りな教室」(アット エンタテインメント)メキシコ
麻薬や犯罪が蔓延するメキシコ国境の町にある学力全国最下位の学校に赴任したひとりの教師が、型破りな指導で生徒の好奇心と可能性を引き出していく。事実に基づくドラマ。生徒たちが学ぶことの喜びに瞳が輝いていく様が心を打つ。社会格差や貧困、治安の悪化等、子供たちを取り巻く負のスパイラルを断ち切るのは教育であり、教育こそが未来への希望ということに気が付かせてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
※【PG12】未成年者によるバイクのノーヘルメット運転の描写がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。
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「ぼくとパパ、約束の週末」(SDP)ドイツ
自閉症の少年ジェイソンは、学校や町中で時々、癇癪を起して両親を困らせていた。ある日、父親のミルコは、推しのサッカーチームを探すため二人でドイツ中のスタジアムを巡る約束をした。ファミリー・ドラマ。社会的視野を広げ、障がいについての理解を育み、人と人とのふれあいや愛情の大切さに気が付かせてくれる。また、多様性のある社会について考える機会を与えてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「ぼくのお日さま」(東京テアトル)日本
少年アイスホッケーチームのタクヤは、ある日フィギュアスケートを滑る少女に目が釘付けになった。それ以後、タクヤは自分もフィギュアを滑りたくなってしまう。ドラマ。監督が脚本・撮影・編集も自ら手掛け、それが作品の個性となり、映画の魅力を高めている。また、ネットで調べればすぐに答えを求めることができる現代において、映画にもすぐに答えや説明を求めがちだが、この映画は饒舌に説明しない。ゆっくりと丁寧に物語る映像のどこにフォーカスするか。登場人物たちの想いやその背景について何を感じ、何を受け止めるかは観る者にゆだねられている。それは他者への想像力を醸成し育む、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「大いなる不在」(クレイテプス/ギャガ)日本
俳優の卓は、ある日、北九州市で暮らす父親の陽二が警察に保護されたとの連絡を受ける。妻の夕希とともに北九州へ帰る卓だったが……。ドラマ。映画ならではの表現が想像力を刺激する作品であり、確かにあった「自分」という存在が認知症によって曖昧になり、家族の中から親子、夫婦という繋がりが消えていく様は、いまを生きる若者にとっても、「自分とは」「人生とは」「生きるとは」「老いるとは」等について考える機会を与えてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「違国物語」(ジャンゴフィルム/東京テアトル、ショウゲート)日本
小説家の槙生(まきお)は突然の事故で亡くなった姉の娘、中学3年の朝が親戚をたらい回しになっては気の毒だと思い、引き取って一緒に生活を始めることになった。環境や考え方が相反する2人が互いの違いを肯定して自分らしく生きていく様は、現代にとってのやさしさや人と人との繋がりついて考える機会を与えてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「ディア・ファミリー」(TOHOスタジオ/東宝)日本
ビニール樹脂加工の町工場を営む坪井は、心臓の病で余命10年と宣告された次女の佳美を助けるために、人工心臓の開発に奔走する。ヒューマンドラマ。映画の魅力を高めてくれる作品であると共に、困難に直面してもあきらめない主人公とその家族の姿は次世代に希望を感じさせる。また、日本の医療が抱える課題について考える機会を与えてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「水深ゼロメートルから」(レオーネ/SPOTTED PRODUCTIONS)日本
高校2年の夏休み。ココロとミクは体育の水泳授業の特別補習としてプール掃除をやることに。同級生の水泳部のチヅル、先輩のユイも2人に合流して……。青春ドラマ。高校生が感じている社会の押し付けや学校規則の理不尽さ、不条理さに対して問いかけ、観る者に自分らしく生きられる多様性のある社会について考える機会を与えてくれる。また、高校演劇が映画になるという新たな創作への興味、関心を次世代に向けて高めてくれる映画として推薦いたします。
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「リトル・エッラ」(カルチュアルライフ)スウェーデン
サッカー大好き少女エッラのいちばんの親友は美容師のトミーおじさん。両親がバカンスで大好きなおじさんと過ごせる!と思いきや、おじさんのカレシが現れて……。児童映画。友達と繋がることの大切さや多様性のある社会について気が付かせてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「かづゑ的」(オフィス熊谷)日本
瀬戸内に浮かぶ長島の国立ハンセン病療養所・長島愛生園。宮崎かづゑさんは、10歳で入所してから約80年、ずっとこの島で暮らし、夫の孝行さんとともに自然の中で生活してきた。ドキュメンタリー。社会的視野を広げ、差別や偏見について考える機会を与えてくれる映画であり、ハンセン病患者が置かれてきた社会的・歴史的背景について、さらに理解を深めることを期待して、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「52ヘルツのクジラたち」(ギャガ)日本
別府湾を望む高台の家に引っ越してきた三島貴瑚。そこは祖母が住んでいた家で、すぐに地元の噂になった。ある夏の午後、折からの夕立の中で貴瑚は少年と出会った。その子に残った全身の痣が、自身の受けた壮絶な体験を想起させて……。ドラマ。人と人のふれあいの大切さや他者の心の声を想像し理解しようとすることの大切さを知り、日本社会が抱える課題や自分らしく幸福に生きられる社会について考える機会を与えてくれる作品として、次世代に向けた映画として中学生以上に推薦します。
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2023年
「白日青春 ―生きてこそ―」(武蔵野エンタテインメント)香港=シンガポール
かつて中国本土から香港に密航してきて、今はタクシー運転手をしている陳白日は、ふとしたことからパキスタンからの難民の子ども・ハッサンを助けるが……。ドラマ。香港、そして世界が抱える難民問題の現実を知り、難民に対する抑圧や差別、偏見などについて考える機会を与えてくれる。また、人と人とのふれあいの大切さや多様性のある社会の大切さを感じ取れる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
※【PG12】年少者の窃盗行為が描かれているが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。
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「弟は僕のヒーロー」 (日本イタリア映画社/ミモザフィルムズ)イタリア=スペイン
ジャックは、生まれてきた弟は「特別」な能力を持ったスーパーヒーローだと思っていたが、実は弟はダウン症を患っていた。実話を基にしたドラマ。家族の愛情、人と人とのふれあいの大切さを気が付かせてくれる。また、他者への想像力を醸成し、人が自分らしく生きられる多様性のある社会について考える機会を与えてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
※【PG12】20歳未満の喫煙・飲酒並びに薬物使用の描写がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。
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「ブルーバック あの海を見ていた」(キングレコード/エスパース・サロウ)オーストラリア
オーストラリアの人里離れた海辺で母親と暮らす少女アビーは、青い魚「ブルーバック」と出会ってから毎日は、より一層輝きを増すが、リゾート化計画が始まり……。ドラマ。オーストラリアの美しい海を愛する母娘の強い想いを通して、自然を愛する心を育み、環境保護や自然破壊について考える機会を与えてくれる、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「駒田蒸留所へようこそ」 (DMM.com/ギャガ)日本
父の死後、実家の蒸留所を継いだ年若い女性社長は、地震の影響で経営難に陥った会社再建のため、家族の絆とも云える幻のウイスキー復活を目指し日々奮闘する。アニメーション。人と人との繋がりや想いの大切さを感じとれる映画であり、好きなこと、やりたいことと仕事について、そして自分の将来について、自分はどうありたいのかを考える機会を与えてくれる次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「ダンサー イン PARIS」(ニューセレクト/セテラ・インターナショナル)フランス=ベルギー
エリーズは将来有望なバレリーナだったが、恋人に裏切られけがを負い引退の危機に立たされる。そこでコンテンポラリーダンスに出会い再起を図る。ドラマ。一流のダンスの美しさと躍動感を体感でき、主人公が新たな選択肢を見つけ挫折を乗り越えていく姿は次世代に希望を与える。次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「燃えあがる女性記者たち」(きろくびと)インド
インド北部のウッタル・プラデーシュ州。憲法で禁止されながらもカースト外として酷い差別を受け続けるダリトの女性たちが運営する新聞「カバル・ラハリヤ(ニュースの波)」の不屈の闘いを描くドキュメンタリー。社会的視野を広げ、世界が抱える問題に気づくきっかけを与えてくれる。逆境の中、一人一人がスマホによる情報の発信者として社会を変えていく様は希望を与え、次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「世界のはしっこ、ちいさな教室」(ニューセレクト/アルバトロス・フィルム)フランス
シベリアの雪深い遊牧民キャンプ、ブルキナファソの蒸し暑い僻地の村、モンスーンで水没したバングラデシュ避難地域。それぞれの土地で奮闘する教師のドキュメンタリー。「学びたい」という子供たちと「教育は人生を変える力がある」と子供たちと真正面から向き合う教師たち。「教育とは何か?」という原点に気が付かせてくれ、「学び」を通して多様性のある未来について考える機会を与えてくれる次世代に向けた映画として推薦いたします。
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「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩」(彩プロ)ウクライナ=ポーランド
第二次世界大戦下、領土を奪われ翻弄されるウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族が大地と子どもたちを守り抜こうとする。ドラマ。生命の尊さ、人と人の絆の大切さを知り、戦争のない世界を築くために何をすべきか、戦争や平和について考える機会を与えてくれる次世代に向けた映画として推薦いたします。
「ぼくたちの哲学教室」(doodler)アイルランド=イキリス=ベルギー=フランス
紛争後のベルファスト、アードインの小学校校長と彼のチームが、哲学の知恵を取り入れ、子供たちに自分たちのコミュニティの境界や限界を超える力を与える。ドキュメンタリー。社会的視野を広げ、世界が抱える課題を知ることができる。また、他者への想像力を醸成し、どんな意見にも価値があり、多様性のある社会の大切さに気が付けさせてくれる、次世代に自信と勇気を与える映画として推薦いたします。
「不思議の国の数学者」(クロックワークス)韓国
名門私立高校の落ちこぼれ生徒ジウは、学校の警備員ハクソンに数学を教わることになったが、実はハクソンは脱北してきた天才数学者だった。ドラマ。脱北問題や学歴社会、格差社会等、韓国の社会問題について知る機会を与えてくれ、魅力的な映像を通して“数学の美しさ”を体感させてくれる、特に中学生以上の次世代に向けた映画として推薦いたします。
「ウィ、シェフ!」(ニューセレクト)フランス
頑固な副料理長のカティは、美食レストランを開く夢を叶えるために、お店で働いていたが、料理長と反りが合わず、やめてしまう。そして移民のためのシェルターにあるカフェテリアで働くことになった。ドラマ。美味しい料理を通じて、移民問題・難民問題や多様性のある社会について考える機会を与えてくれる、特に小学生高学年以上の次世代に向けた映画として推薦いたします。
「生きる 大川小学校 津波裁判を闘った人たち」(パオネットワーク/きろくびと)日本
2011年の東日本大震災。中でも74名の児童の命が失われた宮城県 石巻市立 大川小学校でなにが起こったのか。真相と原因の究明をもとめる遺族たちの闘いを追ったドキュメンタリー。裁判で闘わざるを得なかった親たちの苦悩や葛藤を通して、裁判とは何なのか?、災害時に自分の身を守るには日頃から何をすればいいのか?……を考える機会を与えてくれる、特に中高生以上の次世代に向けた映画として推薦いたします。
「丘の上の本屋さん」(ミモザフィルムズ)イタリア
古本屋の店主リベロと移民の少年エシエンは、読書を通じて年齢・国籍・歩んできた人生を越え友情を育んでいく。ドラマ。他者への想像力を醸成し、人が自分らしく生きられる多様性のある未来に向けて希望を与える次世代に向けた映画として推薦いたします。
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